呼吸療法認定士の取得に向けて勉強していて、たくさんの計算式を扱うことに気が付きました。そして独学では理解するのにかなり苦労した覚えがあります。
すこしかみ砕いて要点をまとめたので参考にしていただけると幸いです。
呼吸療法認定士試験で使用する計算式
まず式の中に登場するアルファベットについて少しふれます。
・PaO2→動脈血酸素分圧
・PAO2→肺胞気酸素分圧
・SaO2→動脈血酸素飽和度
・SPO2→経皮的動脈血酸素飽和度
★ちなみにパルスオキシメーターは青柳らが1975年に開発!
動脈血酸素含量(CaO2)
★基準値:成人男性で約20ml/dlくらいといわれる(基準値見つけられません・・・)
・1.34×Hb×SaO2はヘモグロビンと結合している酸素を表す
・0.003×PaO2は動脈血中に溶けている酸素を表す
・血液中にどれくらいの酸素を含んでいるのかを計算することができる
・式を見てわかるように酸素含量で重要な要素はHbである
→Hbが低下するとCaO2が大幅に低下する
酸素供給量(DO2)
・心拍出量は一回拍出量×心拍数で求めることができる
・DO2のDはdeliveryのD
・酸素供給量が低下するか酸素受容が増加すると低酸素状態となってしまう
・酸素供給量を上げるためには、心拍出量を上げる(カテコラミン投与など)か、CaO2の要素であるHbを上昇させる(輸血)か、PaO2を上昇させる(酸素投与)かが必要
肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)
★基準値:(年齢÷4)+4 10以下ともいわれる
・A-aDO2を求めるために、まず肺胞気酸素分圧(PAO2)を求める必要がある
・(760-47)は大気圧760mmHgから水蒸気の47㎜Hgを抜いたもの
・大気圧760㎜Hgでは酸素は21%含まれるため、酸素吸入していない状態では
(760-47)×FiO2(0.21)≒150㎜Hgとなる
・式をまとめると(A-aDO2)=(760-47)×FiO2-PaCO2/0.8–PaO2
酸素吸入していない状態では(A-aDO2)=150-PaCO2/0.8–PaO2となる
・大気圧における酸素分圧から動脈血二酸化炭素分圧(呼吸商で割る)を引いたものが
肺胞気酸素分圧(PAO2)となる
A-aDO2が開大する原因はⅠ型呼吸不全(拡散障害、換気血流比不均等)であり、Ⅱ型呼吸不全(肺胞低換気)ではA-aDO2は正常範囲に保たれる。
※A-aDO2は吸入酸素の影響を受けるため、吸入酸素濃度が40%以上の場合はP/F比を用いてガス交換障害の程度を評価する必要があります。
P/F比
・値が低いほど重症!
・PaO2=100㎜Hg、室内気(FiO2=0.21)ではP/F比=476mmHgとなる
軽症 :200㎜Hg<P/F≦300㎜Hg
中等症:100㎜Hg<P/F≦200㎜Hg
重症 : P/F≦100㎜Hg
肺胞換気量
・死腔とはガス交換に関与しない気道中のスペース
・死腔は解剖学的死腔と生理学的死腔の2種類がある
解剖学的死腔は鼻腔から終末細気管支までのスペースを言う(1回換気量500mlのうち150ml程度)
生理学的死腔は換気があるものの、血流が極端に少ないか途絶している状態
・呼吸回数を増やすより一回換気量を増やした方が換気効率が良いことがこの式からわかる
生理的死腔率(VD/VT)
★基準値:25-35%
・血液ガスとカプノメーターから得られる数値で計算すると
(PACO2-PECO2)/PACO2≒(PaCO2-PECO2)/PaCO2となる
・死腔率は肺気腫、ARDS、肺塞栓症、急性循環不全で上昇する
アニオンギャップ(AG)
★基準値:12±2mEq/l
・血液中に存在する陽イオンと陰イオンの差で、代謝性アシドーシスの原因を調べる指標となる
・AGが上昇しているということは、陰イオンの増加が考えられる
乳酸アシドーシス、腎不全、糖尿病性ケトアシドーシスなど
酸素ボンベの残量計算
最後に
試験にも出やすい計算式の要点をまとめましたが、臨床でも使えるものも多いのでぜひ知識としてインプットしておくと良いと思います!
下記記事も参考にしてみてください!