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看護師の日常・雑記

【救急外来で悩む電話相談…】救急看護師の問診力・アセスメント力!

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救急外来では休日、夜間にたくさんの患者さん、ご家族から様々な電話相談が来ます。

電話では直接患者さんを診ることができないため、問診から状態を把握しすぐに受診が必要な状態か、経過観察が可能かをアセスメントする必要があります!!

実際にあった電話相談の事例からどのように問診を進め、どのようにアセスメントしたのか紹介したいと思います!

※私が勤務している病院は二次救急に指定されており、休日夜間は一次救急の病院も稼働しています。

実際の事例紹介

19:50 80歳のAさんが腹痛を訴えていると妻からの電話

妻:遅くにごめんなさい。夫がお腹を痛がっていてこれから病院へ連れて行ってもいいですか?

救急担当看護師

お腹が痛いのですね、少し状態を把握したいので何点か確認しても良いですか?

妻:大丈夫です、お願いします。

救急担当看護師

(過去に入院歴があってカルテには胆石で今後手術と書いている。そこに関連した問診が必要かな。)

ー問診した内容ー
・お腹の痛みはいつからですか?
・痛みはどんな性状ですか?
・痛みの部位はどこですか?
・発熱、嘔気、嘔吐、皮膚や眼球の黄染はありますか?
・ご本人は話したり、歩いたりはできそうですか?

妻:夕食後から痛みだして、お腹の右側に鈍い痛みがあると言っていまうす。熱はさっき測ったら38.2度でした。吐き気は無いみたいです。若干目が黄色いように感じます。話したりトイレ行くとかは問題ないです。

救急担当看護師

(発熱、腹痛、黄疸もあってシャルコーの3徴候が出ていて胆道感染が疑われるな…意識は大丈夫で動くこともできそうではあるな。)

わかりました。当直の先生にも一度確認するので少々お待ちください。

★当直医に状況報告し受診して良いか確認し許可を得る

救急担当看護師

おそらく胆石からくる症状と考えられます。すぐに救急外来受診できそうですか?

妻:これからタクシーで向かいます、よろしくお願いします。

救急担当看護師

わかりました、気をつけて来てください。簡単な入院準備もしておくと良いと思います。

問診で得られた情報からすぐに受診が必要と判断し、当直医に確認を得て救急外来を受診する流れとなりました。

この後救急外来を受診され結石性胆管炎で緊急入院、翌日にERCとなりました。

カルテの内容と本人・家族からの情報から問診する内容を検討していきます。ある程度疾患を予測しながら問診していきますが、視野を幅広くもって問診する内容を検討する必要があります!!

思い込みで問診していくと誘導尋問のようになってしまい、隠れている病気を見逃す危険性があるからです!

22:00 40歳代男性の腹痛、吐き気

男性:お腹が痛いのと吐き気があるので病院受診したいのですが大丈夫ですか?今日仕事が忙しくて病院受診できなかったんです。

救急担当看護師

(仕事ができる程度の痛みと吐き気か、電話の声の感じからも緊急性はそこまで高くはなさそうだな…。)

ー問診した内容ー
・いつ頃からの症状ですか?
・腹痛と吐き気の程度はどうですか?
・下痢や下血、吐血はないですか?
・発熱はないですか?
・生ものは摂取しましたか?
・水分摂取は可能ですか?

男性:数日前から痛みと吐き気があったんですが、仕事で休めず我慢していました。痛み止めはいらないくらいですが、お腹もゆるくて下痢止め使ってなんとかしていました。下血、吐血はないです。熱もありません。生ものの摂取もないです。水分は摂れています

救急担当看護師

それは大変でしたね。他の病気で病院にかかっていたり、現在飲んでいる薬などありますか?

男性:病気は特になくて薬もドラッグストアで買った下痢止めだけです。

救急担当看護師

わかりました、症状を聞いたところ腸炎などが考えられます。薬を使って無理に下痢を止めない方がよいかと思います。
明日病院受診が可能でしたら固形物は避けて、水分をしっかり摂って病院受診で良いかと思いますが、もし早めの受診を希望でしたら一次救急へご相談してみてください。

男性:早めに受診したいので一次救急の病院にかかろうと思います。ありがとうございます。

救急担当看護師

お大事にしてください。

今回の症例のように仕事で日中の病院を受診できず、夜間の受診を希望されるケースも結構あります。電話口から聞こえる声や有症状時の行動からご本人がどの程度元気なのか把握します。

今回は仕事ができる程度の元気はあり、腹痛の程度からも消化管穿孔や消化管出血など緊急を要する疾患が隠れている可能性は低いと考えられます。嘔吐、下痢もあり胃腸炎などが考えられますが、水分摂取が可能な状態であれば今すぐの受診は必要ないと考えます。

しかし、電話してきたのは40歳代の働き盛りの男性です。日中の病院受診が難しいようであれば夜間に受診が可能な一次救急の病院を紹介することも大事な看護師の支援と言えます。

それぞれの地域の救急体制を維持するためにも大事なことですね!

23:30 頭を打った子供が嘔吐したと母親から電話

母親:夕方に公園で子供がブランコから落ちて!さっき吐いたんです!すぐに病院へ連れて行ってもいいですか?

救急担当看護師

(お母さん焦っているな、まずはこちらが落ち着いて対応しよう!)

お子さんは吐いた後意識ははっきりしていますか?普段と違う様子はないですか?

 母親:普段より元気はないですが、話したりできています。

救急担当看護師

(意識は大丈夫そうだ、もう少し詳しく状況を確認しよう。)

ー問診した内容ー
・お子さんの年齢を教えてください。
・受傷した部位はどこですか?
・受傷後から普段と違った様子はありますか?
・嘔気や嘔吐は続いていますか?
・手足の痺れや呂律困難などはありませんか?

母親:10歳の男の子です。一緒のいた友達の話ではブランコから落ちて頭を打ったようです、後頭部にたんこぶもできています。
少し元気はないですが、晩御飯も食べましたし手足のしびれなどは出ていないようです。一度吐いてからまだ吐き気があると言っています。

救急担当看護師

(明らかに頭部を受傷していて、吐き気も続いているのか…。)

★当直医に状況報告し受診して良いか確認し許可を得る

救急担当看護師

当直医の確認も取れましたのですぐに救急外来を受診してください。焦らずに気をつけて来てくださいね。

母親:わかりました、よろしくお願いします。

救急外来で医師の診察後にCTが必要と判断され撮像するも明らかな出血はなく、脳震盪ということで10歳の男の子は帰宅となりました。子供の場合、自分で症状をうまく伝えられないケースが多いため、家族からの情報が大切になってきます!

CTは被ばくの関係で子供は避けたい検査ではありますが、普段より活気がなく、嘔吐もしている状況を考えると医師の診察を受けCT撮像を検討する必要はあると考えます。

救急外来では親からの子供に関する相談も多くあります。親が焦っているケースも多いため看護師が落ち着いて対応する必要があります。

最後の「焦らず気を付けて来てください」というのも大事な一言です!!

終わりに

救急外来における電話相談対応というのは問診力、アセスメント力、幅広い知識が必要となってきます。私は基本的に一人で判断せず、一緒に勤務している看護師や当直医に相談した上で最終的な指示を患者さんやご家族へ伝えるようにしています。

夜間や休日に電話してくるということはそれだけ苦痛症状があり、緊急性を感じていることと思います。そのような状況に電話でも少しでも寄り添った対応ができるように心がけていきたいものですね。

年齢や性別、既往などは個人が特定できないよう変更していますが、実際にあった事例を紹介しました。他にも気になるという方がいましたらコメントなどで教えていただけると嬉しいです!!